垂直避難で足りる家、足りない家
「無理に外に出るより、家の上の階にいたほうが安全」と言われます。条件が合えばその通りです。 ただ、この判断は気持ちではなく高さで決まります。
計算のしかた
想定浸水深に安全余裕を1m足した高さより、居室の床が上にあるかどうか。それだけです。 浸水3mなら4m。1層3m・1階の床が地面から50cmの建物では、2階の床は3.5mなので足りません。3階が要ります。
この条件だと
1階が天井近くまで浸水
上の階へ避難すれば水に届きません(3階以上へ)
停電でエレベーターと水道が止まり、外に出られない日が続く前提で備えてください。
上の階へ上げるもの
- 冷蔵庫・洗濯機・電子レンジなど1階の家電
- 通帳・印鑑・保険証券・パスポートなどの書類
- 思い出の品(写真・アルバム)。濡れると復元できません
- ポータブル電源・モバイルバッテリー
動かせないので、事前に手を打つもの
- エアコン室外機・給湯器(据付なので事前の嵩上げか、業者への相談)
- 分電盤・コンセント(浸かると復旧に電気工事が要ります)
車
水深30cmでマフラーが浸かってエンジンが止まり、ドアも開きにくくなります。動かすなら雨が強まる前です。
計算の根拠
- 想定浸水深は国土交通省「ハザードマップポータルサイト」の凡例に合わせています。自宅の値はお住まいの自治体のマップで確認してください。
- 1層あたりの高さは3mとして計算しています。実際の建物で変わります。
- 垂直避難の可否は、想定浸水深に安全余裕1mを足した高さが居室の床を超えるかで判定しています。
- 車の数値(30cmでエンジン停止、50cmで浮き始める)は一般的な乗用車の目安です。
- このツールは避難の判断そのものを代わりに行うものではありません。自治体の避難情報と現場の状況が最優先です。
高さが足りていても、生活は止まる
ここが見落とされます。水が来ない階にいても、周りが水なら外には出られません。 停電すればエレベーターは止まり、マンションの給水ポンプも止まって蛇口から水が出なくなります。 下水も使えないのでトイレは流せません。つまり、垂直避難は在宅避難の一種です。
水が引くまでの日数分の水・食料・携帯トイレを、逃げる階に置いておく必要があります。 1階の納戸や床下収納に備蓄をまとめている家は、その全部が使えません。
必要量は家庭備蓄量の計算機で出せます。 出た数量のうち、少なくとも半分を上の階へ移してください。
垂直避難を選んではいけない場合
- 家屋倒壊等氾濫想定区域に入っている。水の勢いで建物が流される想定なので、階数は関係ありません。
- 土砂災害警戒区域に入っている。土砂は上の階まで届きます。
- 想定浸水深+1mが建物の最上階の床を超える。
- 寝たきりの家族がいて、階段で上げられない。水が来てからでは動かせません。
どれかに当てはまるなら、避難情報が出る前に移動する計画を先に立てておくことになります。 親戚・知人の家、ホテル、指定避難所の順で当たっておくと、当日に迷いません。
出典
- 国土交通省 ハザードマップポータルサイト
- 安全余裕1mと階高3mは当サイトによる概算です
最終更新:2026年9月7日